【奥鬼怒温泉郷】秘湯を目指して、ゆるり日光澤温泉(前半)

雪見温泉!

ずっとずっと更新が止まっていたねずみのやまのぼり。
お待たせしてしておりました方も、別にお待ちしてませんでしたよな方も、お久しぶりでございます。
気持ちも新たにねずみのやまのぼりリニューアルオープンです!

今まで歩いた山旅.....たくさんあるんですが全く記事作成が追いついていません。
のんびりゆっくり綴っていきたいと思いますのでよろしくお願い致します。

さて、リニューアル1発目。
久しぶりに母と一緒に、雪見秘湯温泉ハイキングに行ってきました。
だらだらぐだぐだしすぎて、やまのぼりなんてしていませんが....笑
よかったらご覧になってくださいませ。

【浅草駅】
8時ちょうどの!きぬ107号で、わたしはわたしはあなたから旅立ちます〜
そんな気分でやってきました東武鉄道浅草駅です。

乗り込んだら至急プシュっと、朝ごはんの時間です。
(ちなみにプシュっとを飲もうと先に言ったのは母です。笑)
列車に揺られて良い気分...鬼怒川温泉駅までは約2時間。
ここで今回の旅のアクセスをまとめておきます。

【日光澤温泉の計画表】
 8:00 浅草駅(東武鉄道 きぬ107号)
 9:59 鬼怒川温泉駅
10:15 鬼怒川温泉駅バス停日光市営バス 鬼怒川温泉女夫渕線
11:50 女夫渕バス停
※バスは1日4本なので注意して下さい。
女夫渕バス停から日光澤温泉までは徒歩1時間半から2時間ほどです。

女夫渕へのバス乗り場は鬼怒川温泉駅の改札を出たら斜め左方向です。
バス停に向かおうと改札を出たところで、母がおじさんにナンパされてる!!
......って思ったらジャンボタクシーの運転手さんでした。笑

10:15発のバスより早く出発して、女夫渕にバスより20分くらい早く到着するとのこと。
バス運賃は1540円だけどジャンボタクシーは1500円とちょっとお得。

8人くらい乗れるジャンボタクシー。
先にスカウトされていた男性1人と、わたし達の後ろにいた女性3人組もスカウトして、総勢6人が乗り込みました。

漁師もしている2足のわらじな運転手さんとおしゃべりをしながらのドライブ。
時々停車して、紅葉が綺麗なところで撮影時間を取ってくれたり、「この木は1晩で鹿が食べちゃったんですよ〜」「あれが熊棚ですよ〜」ってプチガイドもしてくれました。

車窓から見えた紅葉。
もうほとんど終わりで、下の方に少しだけ。

なんなら鬼怒川温泉駅に着いた時点から雪が降っています....もう冬ですねぇ。

女夫渕バス停には大きな駐車場になっていて、立派な休憩舎もあります。
中にベンチとテーブルがあって、広々トイレも完備されているので、ゆっくり準備ができます。

雪と風は少し強くなって、気温もグっと下がってきました。
ここから1時間半ばかり歩くハイキングコースは登りがほとんどなくフラットな道のりなので体温もそんなに上がらなそう....。
なので防寒をしっかりして、ぬくぬくのんびり歩きましょう。

【ハイキングコース案内図】
奥鬼怒温泉郷には八丁の湯、加仁湯、手白澤温泉、日光澤温泉の4つの宿があります。
八丁の湯と加仁湯は送迎がありますが、手白澤温泉と日光澤温泉は送迎がないので自分の足で辿り着くしかありません。
奥鬼怒遊歩道という森林コースが女夫渕から宿まで続いています。
わたし達の目指す日光澤温泉までは、約1時間半の道のりです。

遊歩道でなく送迎で使う車道を歩くことも出来ますが、ここは遊歩道で是非。
ふかふかした落ち葉を踏んで、森の匂いに包まれながら、沢の音や小鳥のさえずりに心も体もリフレッシュしながら歩いて、ゴールの温泉で露天風呂とビール。
.......たまらないですねぇ。

バス停の左側にある橋を渡って、遊歩道の入り口へ。
ハイキングすら久しぶりの母はやる気満々のようです。

遊歩道は階段からスタートです。
階段が大っ嫌いな母は、さっきまでやる気満々だったというのにすでにブーブー文句を言いはじめました。笑

落ち葉に少し積もりはじめた雪。
今シーズン初の雪歩き、ちょっこしでも心がウキウキします。

表面に薄っすらとしか積もっていない雪に滑るんじゃないかとへっぴり腰の母。
しょっぱな階段を登ったと思ったら下るもんだから、母のブーブーがとまりません。笑
だけど遊歩道のアップダウンと言えばココくらいのもの。

ここは吊り橋になっていて、名前を鬼怒の中将乙姫橋と言います。
歩いていた時にパッと名前を見ましたが漢字が多かったので覚えようともしなかったので、今調べたというところです。笑
由来も調べたのですが長くなるので省略すると、鬼怒沼は竜宮城で乙姫がいて、姫の美しさに驚きを隠せない市左衛門と言うことです。
(どういうこっちゃ)

乙姫橋を渡ってからは気持ちの良い林道歩き。
落ち葉の絨毯でフカフカになっていて、サクサクと心地の良い足音がします。

時々落ちている色々な植物の実。
花と一緒で可愛いなぁと思いながらも、なんて言う名前なのかは調べようともしない。笑
調べてもすぐ忘れちゃうから今度からスケッチをしてみようかな。
そうしたらきっと忘れない気がする。

ずっと沢沿いを歩いて行くこの遊歩道。
寒くて冷たい空気が沢でもっと冷やされて、ヒューヒュー吹き付けてくる。
耳や頬がキンキンに冷やされて痛いくらい!!

奥鬼怒温泉郷の英訳がSPAなのが気に入らない母。
寂れた風情ある温泉をスパだなんておかしい!とずっと申しておりました。
ちょっとニュアンス違うもんねぇ...わたしもそう思うよ。笑

こちらはしっくりくるね。

いくつかの橋を渡って先を進みます。
ただフワフワの林道を歩くのも良いけど、こうやって少しでも道に変化があると楽しさは倍増ですよね。
橋の上に上がってはこうやって沢を眺めて。

なんだか青く見える水と、少し雪をつけた石とで見てるだけで寒くなってくる。
大きな石や岩がゴロゴロとしていて、水しぶきが上がったり流れに動きがあって見ていて楽しかった。
そうそう、岩と言えばこの遊歩道の斜面は崩壊崩落が激しくて所々迂回ルートがありました。
ルートのすぐ真横に落石がゴロっとたくさんあるので、休憩するときなどは気をつけたほうが良さそうです。

沢を見るのも楽しいけれど、足元に目をやると雪化粧の落ち葉たち。
カサカサに乾燥して白くクルンと身を丸めた葉っぱが可愛らしいなぁ。
見た目だけでなく、踏むとカサカサ音がなるし特有の甘い匂いがする....森を歩くとちょっとしたハイキングでも五感が刺激されます。

沢の対岸を見ると時々猿が走っているのが見えた。
わたし達は会えなかったけどカモシカもいたんだって〜。

歩けば歩くほど雪が多くなってきた。
これは雪見露天が期待できそうだなぁ。
「もうすぐ着くかな?」「ビールっ温泉ビールっ!」なんて話が出てきた頃...

八丁の湯に到着しました。
こんな感じの古民家の棟や、ログハウスコテージがあったりして綺麗でおしゃれな感じでした。

そして孤高のワンコがいました。
歩くたびにピョコピョコ揺れる耳が可愛くって、体がもっちりしていました。
八丁の湯のワンコなのかなぁ?

八丁の湯を通過すると車道に出ました。
まさかのここがデンジャラスゾーンで、カチカチに凍った道路がツルツルっと。
チェーンスパイクを持ってきていましたが装着するほどの距離ではなかったので付けずだったのですが、気を抜けないのでヒヤッとしました。
雪が積もってしまった方が安心で、凍結が1番厄介で危ないですね。

八丁の湯から5分ほどで加仁湯に到着です。

本館の前には自由に入れる足湯がありました。
登山靴を脱ぐのは面倒なので冷え冷えになっている手を入れて温めました。
ひゃーポッカポカ!

加仁湯はリゾート宣言。
館内を見たことはないけれど、温泉郷のリゾートとはいかに。
ここの温泉は脱衣所は男女別なものの、温泉にザブンとすると男女合流式の混浴露天となっているそうです。

加仁湯から先行者の足跡が増えました。笑
日光澤温泉まで案内してくれるのかな?

道端に美味しそうなクレソンがたくさん生えていました。
これは日光澤温泉のクレソンのようで、採ってるのを見つけたら罰金ですって注意書きがありました。
自分で採らなくても夕食で食べさせてくれるので、みなさんご安心を!笑

加仁湯から10分ほどで日光澤温泉に到着です。

昔ながらのレトロでしっぽりとした木造の宿。
右から左に読む日光澤温泉の看板....と言うことは戦前のもの。
そうなのです、ここは昭和2年(1927年)創業の歴史ある宿なのであります。

「やった〜!着いた着いた!」って喜んでいると、扉をグイッと顔で押しのけて可愛い小屋番さんが出てきてくれました。

早速メロメロな母。

もちろんわたしもメロメロです。
小屋番ワンコさんを撫でていたら、可愛いおかみワンコさんも出てきてくれて、もう可愛いしかない状態です。
たまたまトレッキングで通りかかった外人さんは、このレトロな宿と日本犬を見て目をキラキラさせて喜んでいました。
そうでしょう、いいでしょう、日本って素敵でしょって自慢したい気持ちをグっと抑えるのに必死でした。笑

日光澤温泉には3匹の可愛い看板犬が暮らしています。
お母さんのチャング、お兄ちゃんのサンボ、末っ子のワラビ。
柴犬の親子です。
ワラビはどこかへお出かけしているようで姿を見られませんでしたが、チャングとサンボがしっかりとお仕事をしてくれていました。

【館内のご紹介】
玄関の土間を上がると売店と向かいに薪ストーブのある談話室があります。
売店では手ぬぐいやバッジの他にオリジナルの絵葉書や、おつまみにお酒はもちろん、靴下や下着も売っていました。
まさかのパンツを忘れちゃった人も大丈夫、ブリーフが800円で売っています。
薪ストーブのある談話室には山の雑誌がたくさん置いてありました。

二階に上がった二号室がわたし達の部屋でした。
ガランと殺風景な何もない和室をイメージしていただけに、障子があって炬燵にストーブもある!と静かに衝撃を受けました。笑
これは快適に過ごせそうだ〜

2人だったけど布団が3つ用意してあって、寒かったら足してねと。
炬燵にストーブがあるので部屋を暖かくして過ごせるのですが、木造の宿なので火事防止のために、部屋を空けるときは電源を切らないといけません。
「寝る時は温泉で良く温まってから寝てくださいね。」と説明してくれた宿のご主人。
ストーブを消せば部屋はアっという間に0度になるので、風邪を引かないように防寒をしっかりしなくてはいけません。

歩くたびにギシっギシっと音を鳴らす階段を下りると内湯が2つあります。
日光澤温泉の内湯は宿泊者のみ入浴可能で、日帰り入浴をされる方は混浴露天のみの入浴となります。

内湯は男女に分かれていて時間で交代になります。
基本的に右側の乳白色の温泉が男湯。

左側の透明な温泉が女湯です。
湯の花がポワポワ浮かんでいました。

どちらも石鹸などの使用は大丈夫ですが、シャワーのお湯は源泉なので髪を洗ってもちょっと温泉くさくなります。笑
それとドライヤーがなかったので、わたし達は髪を洗わずでした。
濡れた髪のまま寒い館内にいたら死んでしまうもの!笑
汗で少ししっとりしてしまった髪は部屋のストーブで地味に乾かしました。
(宿の人に聞かなかったけどドライヤーを借りれるのかもしれません。コンセントは部屋にあったので心配な人は持参でどうぞ。)

どちらの内湯からも内鍵を開けて露天風呂に行くことが出来るのですが、締め出されに注意してください。
極寒の中、裸で放り出されることになります。笑
もし締め出されちゃっても、裸で玄関に行って、裸で館内から内湯に戻れば大丈夫ですけどね。笑
ちょっと恥ずかしいかもしれないね。

二階には談話室がもうひとつ。
こちらは囲炉裏のあるほっこり部屋で、色々持ち込んで焼きたくなるなぁ。
この隣には大きな広間があって、朝夕の食事はそこでみんなで食べるようです。
わたし達が宿泊したこの日は、わたし達2人の他に男性が2人の合計4人と貸切状態だったので広間は使わずに一階の談話室で薪ストーブを囲みながら食べました。

昭和2年、昔ながらそのままの姿を残した貴重な建物。
戦前のこの時代に生きていたわけではないのに、ここにいると懐かしい気持ちになる。
昔の日本にタイムスリップしてきたような、その時代の旅人になったような不思議な気持ち。
雪が多く積もるこの場所に、長い時間ずっとここで、たくさんの宿泊者を迎えてきた。
色んな人の想いが詰まった温もりのある宿。

まるで学校の校舎のよう。
風が強くて屋根から雪が飛ばされて行く。

サンボ、あくびしてるのバレてるよ。笑
玄関の扉はワンコ達が自分で開けて出てこれるように、全部は閉まらなくなっています。
サンボは誰かが来ると隙間に顔を挟んでジっと見つめて、お客さんだとわかるとココにもっちりした体をグイっとねじ込んで扉を開けてお迎えに来てくれます。
その仕草が愛らしくて、キュンキュンしすぎて悶えます。

お昼の気温はマイナス4度。
風が強いので体感的にはもっと寒く感じました。
標高1500mないんだけど、山の中は寒いよ〜!

館内をぐるっとひとまわりしたので、お部屋に戻ってゴロゴロタイム。
宿でお酒を買ったら高いからと浅草駅で買ったお酒達です。
(本当はビールがもうちょっとある)

14時前に宿に着いてしまったものだから、明らかにお酒が足りない...。
もっと買ってくればよかったね....と意気消沈するわたし。
だけど「大丈夫、足りなかったら宿で頼めばいいのよ!」と言う母の力強い言葉に励まされ、気持ちを持ち直しました。

そして炬燵から一歩たりとも出ないという環境を作り上げる。
カップラーメンを持って来すぎた疑惑が浮上するも、「夕飯の時間が早いから絶対夜食に食べるよね!」と2人の意見が一致したことで解決されました。
反省点は蜜柑を持ってこなかったこと。
炬燵に蜜柑はベストマッチだもんね。

【露天風呂】
プシュっと一杯やって気分が良くなってきたわたし達は露天風呂へ。
露天風呂は混浴なので、湯浴み着を持ってきていましたが、宿の方が「まだ他の方が到着するまで時間があるので大丈夫だと思いますよ〜」と言うので、手ぬぐい1枚でスタタっと向かいました。
乳白色の温泉は入ってしまえば見えないもんね。
(見えたところで大した物を持っているわけじゃないけど)
早くお湯に浸かって裸でマイナス4度の状況から脱したいのに、芯から冷え切った体には熱湯に感じてザブンと出来ない!笑

「ひゃ〜!寒い寒いさむっ、あちっ!あちちちち...さむっ熱いアチィ〜!」
寒いのに湯が熱くて入れない!
とんでもない状態です。
ただただ、楽しいだけのやつ。笑

泉質は含硫黄ナトリウム塩化物の温泉。
まったりとした柔らかいお湯で、源泉は激しく熱いけど外気の寒さでちょうど良い塩梅。

階段を上がるともうひとつの露天風呂。
こちらはなんとなく黄色味がかった透明な温泉で、ナトリウム塩化物炭酸水素の温泉。
内湯の女湯と同じ泉質なんだけど、地震の影響で泉質が変わってしまったらしく底に茶色の沈殿物が溜まるようになっていました。
縁に寄りかかっていた背中や、足の裏やお尻が茶色になってお猿さんみたいになりました。笑

ヤギ太郎とペスもどんぶらこ。
(遭難船?笑)

冬の冷たい空気に頬や肩を冷やしながら、ポカポカ温かい温泉に浸かる。
このままずっと入っていられそうな極楽の湯加減。
ふぁ〜
たまらん〜しーあーわーせー♡

ふと母を見ると、静かに目を瞑って無になっている。笑
温泉が気持ちよすぎるんだろうねぇ。
わたしも静かに目を閉じて、雪の舞う露天風呂で癒しのひとときを噛みしめるのでした。


(後半へ続く...)


●コースタイム
1日目
女夫渕バス停(11:50)→(休憩15分)→日光澤温泉(13:45)

●アクセス
往路
浅草駅東武線/きぬ107号→鬼怒川温泉駅
鬼怒川温泉駅バス停日光市営バス/鬼怒川温泉女夫渕線→女夫渕バス停