【奥鬼怒温泉郷】秘湯を目指して、ゆるり日光澤温泉(後半)

食べて、寝て、温泉!

温泉にゆったりと浸かって、ポカポカに体が温まったら、待ちに待った夕食の時間です。
あんなにダラダラと呑んで摘んで食べていたのにお腹はグーグー鳴っています。

夕食は薪ストーブのある談話室で。
普段なら二階の食堂の広間を使うそうなのですが、この日は宿泊者が4人と少なかったので、こじんまりしているけど暖かい談話室での食事となりました。

談話室は玄関の横の部屋なので、食事の準備が出来るまでサンボに相手をしてもらいました。
「お腹すいたねぇサンボちゃん。」
サンボにしきりに話しかける母ですが、サンボはだいたい無反応。笑
ぽやーっと見つめ返してくれるだけですが、それだけで癒しなのです。

「夕食の準備ができました〜」

その掛け声に一目散に食卓へ!
出来立てホッカホカのおかずの多い豪華な食事に大興奮!
(家から宿、宿、宿から家、全部服が一緒なわたしをお許しください。笑)

冷奴、クレソンと豚肉の炒め物、きのこおろし、茄子とパプリカのオイスター炒め、ポテトサラダにお漬物、熱々の岩魚の塩焼きと、揚げたての天ぷら〜!
品数が豊富で美味しくて、お腹も心も大満足の夕食です♡
ご飯が進んで進んで、3杯もおかわりしちゃいました。笑

食事中ずーっとキュンキュン鳴いていたチャング。
お腹すいたよ〜ってネバーギブアップの精神で、ずーっと訴え続けていました。笑
わたし達が食べ終わる頃、ようやくチャングとサンボも食事をもらって、嬉しそうにガツガツモリモリ食べていました。

「山奥の静かな夜の宿で、犬の鳴き声を聞くのも、なかなか風情があっていいねぇ。」
と一緒になった宿泊者さんが言っていました。
うん、なんだか雰囲気がいいなぁ...と、わたしも思ったのです。
本当に昔の時代にタイムスリップしたような、田舎のおばあちゃんの家に遊びに来たような、なんだかとても懐かしい気持ちになるのです。

のんびり、ゆっくり、味わって食事をして。
大好きな山や自然の話をみんなで話して、共有して、とても素敵な時間でした。

食事の後は、また温泉に入って、呑み直して。
ゴロゴロしてグータラして。
寝る前に温泉でしっかり体を温めてから、深い深い眠りについたのでした。

【翌朝】
豆電球をつけて母を確認。
寝息も立てず、布団が上下に動くわけでもなく、とても静かな母。

「(まさか...死..)かぁさん.....?」
ふと不安になり声をかけると、もそもそっと動いてくれたのでホっとひと安心。笑
失礼な娘でごめんね。笑

日光澤温泉の布団はズシっと重たくて、かけて寝ると身動きが取れないほど!笑
昔ながらの綿布団なのです。
そのせいで、母が息をしているのを目視では確認出来ないくらいに呼吸で布団が動かない。
寝に入った時はブルっと震えるほどヒンヤリした布団ですが、体温で温まると熱がこもって汗をかくほど暖かくなります。
冷たい布団に裸足で入り込むのって、気持ちよくてなんだか好きです。

電源を落としていたストーブを点火するべく、なるべく布団から体を出さないように、ぐーっと手を伸ばす。
表示されていた室温は2度。
「こんなの外よ、外より寒いわよ」って不思議なことを言う母に妙に納得。
うん、言いたいことはなんとなくわかる。
外より寒い。笑

部屋が暖まって、ようやく布団から脱出。
綿の布団はズッシリ重たくてたたむのも一苦労です。

昔は大体のものが重たく、不便がたくさんあって、だからこそみんな丈夫で元気だった。
遠いところまで行くのに歩いて行くのなんて当たり前だったし、遊びも外で自由だった。
フワッと軽い羽毛布団や色々な便利なものに甘やかされてるわたし達は、基本的な力が弱くなっている。
自然も、自然と触れ合う場面も減って、野生の力が薄れてしまってる。
昭和生まれの端くれとして、わたしは丈夫に逞しく生きたい。
重たい布団をきっかけにそんなことを考える、寒く冷えた朝でした。

朝食はこれまたご飯が進むラインナップ!
昨日は寝るまでダラダラと食べ呑み続けていたのに、起きてみるとお腹がペッコペコ。
夜に続き朝も、おかわり3杯いただきました!
日光澤温泉のお味噌汁がとっても美味しいので、これから泊まりに行く方は楽しみにして欲しいなぁ。
冷えた体にポワーっと沁みます。

満腹になったら散歩へ。
本当は鬼怒沼までハイクする予定だったのですが、温泉と炬燵に捕まってしまって、鬼怒沼まで行く時間がなくなってしまいました。笑
でもせっかくなので、すぐ近くの滝展望台まで散歩に行くことにしました。

玄関で準備をしていると、サンボがお見送りに出てきてくれました。
「ここに僕が座ればフォトジェニックなんでしょ?」と言わんばかりに、スッと出て来てソっと寄り添い座ってくれるサンボ。
看板犬の仕事をよく理解している賢い子です。笑

ムチムチのサンボは首輪にお肉がモリっとしています。笑
可愛らしくてなでなでスリスリすると、ちょっとあぶらっぽいんだよ。(失礼)


宿の裏手には温泉神社があります。
これからも素敵な温泉に出会えますようにと温泉の神様にお願いをしました。

まだ誰も通っていない、薄っすら雪の積もった道。
足跡をつけて嬉しくなる。

凍てつく風を感じながら、沢沿いを歩く。
匂いを感じないほどに空気が冷たくて、その冷たさに鼻が刺激されて痛い。

たっぷりと砂糖をかけられたような岩たち。
雪に埋もれてしまうのも、もう間も無く。
また姿を見せるのは来年の春、しばらく冬眠だね。

道の脇にある小さな滝も氷瀑になりかけていました。
凍りついた下で流れる水音が小さく静かで、滝も冬眠の準備をはじめていました。

歩いて10分ほどでヒナタオソロシの滝展望台に着きました。
わたし達はここまでしか歩かなかったので、結局オロオソロシの滝を見なかったようです。笑

吊り橋を渡って。

橋の上からでも滝が見えるんだけど、なんとも中途半端に凍りはじめていて.....
微妙な仕上がりに。笑
またいつか来るときは、タイミング見計らってこないとね。笑

森林浴の地というこの場所で、思いっきり深呼吸。
肺いっぱいに新鮮な自然の空気を取り込んで、心身ともにリフレッシュ。

冬枯れのヤマアジサイが儚く綺麗で、目にとまった。
レトロな日光澤温泉を背景に、ロマンチックだなぁと思った。
新緑や初夏の瑞々しい緑、艶やかな紅葉の色も良いけれど、色彩を落とした冬の色もなんとも言えず好きだなぁ。

宿に戻って荷物をピックアップして、大きな声でご挨拶。
「お世話になりました〜」
奥の部屋を掃除中だったご主人は、わざわざ玄関まで戻って「お気をつけて」と声をかけてくれました。

静かで、雰囲気のいい、素敵な温泉宿。
とても居心地がよくて心がとろける、幸せな日々を過ごせます。
また冬に、そして季節を変えて泊まりに来たいなぁと思いました。

帰りは猿の足跡をたどって。

足元にはキラキラ輝く氷の宝物。

対岸には30匹を越える猿の群れ。
上流に向かってゆっくりと歩いていました。
彼らも温泉に入ったりするのかなぁ?


11時に女夫渕に戻って来ました。
前日に乗せてもらったジャンボタクシーが迎えに来るのは12時。
「あら、1時間も暇しちゃうねぇ」って母の言葉に、お互いにザックからお酒とおつまみを取り出して乾杯っ!
わたしは鬼ごろしパックを、母はストロング酎ハイを飲みながら旅の振り返りトークに花を咲かせる呑兵衛おやこ。
わたし達の後に入って来たみんなも、それぞれに濁り酒、ワインを取り出して、いつの間にかみんなでワイワイと酒盛りタイム。
どうやら奥鬼怒温泉郷に来る人は、誰もが酒好きのようですよ。笑

ほろ酔いで良い気分になった頃、ジャンボタクシーのお迎えがやって来ました。
なんて素敵なタイミング!

行きと同じく帰りも、お土産屋さんに寄ってくれたり、女峰山を眺める時間を取ってくれたり。
サービス精神旺盛の川俣タクシーの運転手さん。

腰籠欲しいなぁ。

そして山椒魚の干物が売っていて大興奮のわたし。
会津に行った時に山椒魚の唐揚げを食べたことはありますが、こんな山椒魚そのまんまが売っているなんて衝撃でした。笑
「ここのは天然だからね、美味しいよ。ちょっと炙って食べると良いわよ」と、お店のお母さんに聞いたので、テン泊の時に持って行ってチリチリ炙って一杯やろう。
果たして美味しいのかどうなのか....楽しかったら良いんだけどね。笑

タクシーの運転手さんは帰り際に、自宅で取れた柚子をみんなにプレゼントしてくれました。
昨日自宅に帰ってから、わたし達のために柚子を持って行こうと採ってくれたのかと思うと、とても嬉しくなりました。

柚子の爽やかな香りとともに去って行く運転手さん。
また奥鬼怒温泉に来るときはお世話になります。
ありがとうございました!

昼食は運転手さんが「鬼怒川で1番美味しい!」とオススメの蕎麦屋さん〝更科〟さんへ。
ジャンボタクシーに乗っていたみんなで食べることになりました。

「蕎麦には日本酒!」と満場一致の意見で、早速日本酒を。
お漬物が美味しくって分け合っている日本酒の争奪戦になってしまいそう!笑

天ぷら蕎麦は野菜がたっぷりで、見た目もお腹も大満足!
噂どおり蕎麦も香りが良くて美味しかった〜
運転手さんがお店の方にも柚子を渡して、柚子の天ぷらを振舞ってくれました。
くし切りの柚子が熱々ジュワっと新感覚!
あまりの美味しさに一同大感激で、自分がもらった柚子も天ぷらにしてとお願いしたいくらいでした。

満腹になって鬼怒川温泉駅まで歩いて戻ったら、各自それぞれ帰途に。
わたし達は列車の時間まで駅前の足湯でひと休み。

帰りもスペーシアで。
乗り込んでしまえば約2時間で、楽しかった旅の日々から現実に戻ってしまう。
せかせか忙しく目まぐるしい東京は、窮屈で息苦しい。
だけど、週末になればこんな楽くて幸せな旅が待っていると思うと頑張れる!
また次はどこに行くのかな〜
どこを歩いてどこを登って、何を見て感じて、自分の糧にして行くのかなぁ。

久しぶりの母との2人旅。
気兼ねなく同じペースで歩いて感じて、共感して共有する。
温泉にゆっくり浸かって、美味しいものをたっぷり食べて、冬の始まりを感じる雪降りのハイキング。
心が軽やかにほっこり温かくなる良い旅になりました。



●コースタイム
1日目
女夫渕バス停(11:50)→(休憩15分)→日光澤温泉(13:45)
2日目
日光澤温泉(8:35)→滝展望台(8:50)→日光澤温泉(9:30)→女夫渕バス停(11:05)

●アクセス
往路
浅草駅東武線/きぬ107号→鬼怒川温泉駅
鬼怒川温泉駅バス停日光市営バス/鬼怒川温泉女夫渕線→女夫渕バス停

復路
鬼怒川温泉駅バス停日光市営バス/鬼怒川温泉女夫渕線→女夫渕バス停
浅草駅東武線/きぬ107号→鬼怒川温泉駅




コメント

  1. ゆずの天ぷら〜〜食べてみたい!
    橋は吊り橋ではなさそうだけど‥笑
    サンショウウオ楽しみにしてるよ٩( ᐛ )و

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    1. りんごさん
      柚子の天ぷらはとってもジューシー!
      吊り橋だとばっかり思っていたよ〜!
      サンショウウオもそうだし、新潟でカジカももらったから焼いてカジカ酒にしないと。
      その時に柚子の天ぷらをりんご料理長が作ったら最高だね^^

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  2. ひでじぃ もしくは ひでパパ2018年1月16日 18:28

    秘湯ハンターちゅーた
    奥とブログ見て 3月あたりに 行こうかと考えてまする
    また ねずみの足跡をたどるつもりだよ

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    1. ひでじい、ひでパパさん
      しっぽり秘湯が大好きなネズミ!
      宝登山も奥鬼怒も、ネズミの足跡を探してきてください^^
      3月の日光澤いいなぁ...露天風呂で雪見ですね♪

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